奥大和ライフジャーナルOkuyamato Life Journal

高取町 2018.11.2 / コラム

「たかまち」を支え、その懐で育ててくれた高取町の人たち

写真・文=福西奈々子(たかまち*高取町ママたちのちから*

第1話第2話と、代表を務める「たかまち*高取町ママたちのちから*」の活動内容や、活動を始めるまでのことを書いてきました。最終回の今回は、家族で暮らし、活動の拠点とさせていただいている高取町で私たちの活動を支え、その懐で育ててくださっている人々をご紹介したいと思います。

思いをカタチにする「たかまち」のママたち

堂原咲江さん(左)と幸田梓さん(右)。
「たかまち」設立当初から関わってくれているメンバーです。

3姉妹の母親として日々奮闘している堂原さんは、結婚して数年後にご主人のご実家近くに引っ越してこられました。専業主婦の彼女は当時を振り返り、「子育てをしていると社会から取り残されたようで不安だった」と話します。町には「わくわくエンジェル」という育児サークルがあり、当時、彼女はそのサークルの中心的メンバーで母親たちの中心的な存在でした。

私と彼女の出会いは、「たかまち」について「わくわくエンジェル」でプレゼンをさせていただきたいと伺ったことがきっかけでした。

「義父がおいしい野菜を育てているから、もっとアピールしたらいいのに」
「子どもたちが農業を体験できるイベントもしたいんです」

当時から、高取町住人目線の企画力が印象的でしたが、「いろんなことを一気に変えていくのは無理だけど、一歩ずつ前へ進んでいきたい」と、メンバーとして活動してくれることになりました。今は企画室メンバーとして一緒に活動方針を決めていく他、イベントのチラシを作成してくれたり、関係者に連絡を取ってくれたり、細やかな気配りをしてくれるメンバーです。

「一人だと無理なこともみんなとだったから実現できた。私たちと同じ立場のお母さんたちの背中を押していきたい」と話してくれました。

そして、子育てと仕事、「たかまち」の活動の全部を上手にこなしている幸田さん。彼女は、堂原さんが連れてきてくれた、「たかまち」に興味をもってくれたお母さんでした。

当時を振り返り、「高取町に引っ越してきたけど、周りに子どもはもちろん、若いお母さんがいないことにすごく孤独を感じていた。この先、子どもは友達ができるのかな? 私はどうやって交流したらいいのかな? という不安があった」と彼女は話してくれました。

子どももまだ小さく手がかかる上、仕事も忙しくされている彼女ですが、イベントで人の目をひくようなPOPや掲示をつくってくれています。

「周りから期待されることも多くなったけど、私たちがわくわくすることをし続けたい」
「お母さんたちが子どもと一緒に楽しめることもしてみたい」

そう抱負を語ってくれました。

みんなが楽しめる企画の仕掛け人

高取町の「夏まつりスタンプラリー」での抽選会や、「城祭り」での「段ボール甲冑のワークショップ」「時代行列」といった、観光客だけではなく、住民も楽しみにしている企画の仕掛け人がいます。それが、高取町観光協会会長の吉田浩司さん。

吉田さんは町内のIT企業の社長さん。
観光ガイドの情報発信を監修されています。

吉田さんにお会いしたのは、「たかまち」結成前のこと。

私の思いをお話しすると「新しいことを始めるにはエネルギーがいるし、小さな町ゆえの反発もあるかもしれません。でも、やりたいことをやってみたらどうかな?」という言葉をかけてくださいました。

この言葉に背中を押され、見切り発車でしたが「暮らしのレッスン」の開催を決断できましたし、2017年5月の「お寺deマルシェin光雲寺」が開催できたのも、吉田さんが「お寺でマルシェしてみませんか?」とアイデアをくださり、「光雲寺」の住職さんとつないでくださったからでした。

チラシ印刷をサポートしていただいたり、配付エリアを一緒に考えていただいたり。パソコンで何か困った時も助けていただくなど、頼りっぱなしです。

助け合いの大切さを学ばせてもらった、町のマダムたち

石畳みの土佐街道沿いに、町並みにとけ込む赤い看板があります。人々の交流スペースとして解放されている「まちゃポ」の看板です。手づくり商品などの委託販売や、藁書やパッチワーク、一筆画、大正琴などのおけいこ教室開催など、町の人たちの憩いの場となっています。

「まちゃポ」代表の喜多昭代さんや、そこに集まる方々も私たちを支えてくれています。。

「まちゃポ」の喜多さん(左)と「カフェひと休み」スタッフの本田さん(右)

喜多さんは町役場の元職員さん。在職中からいろいろな町のイベントを企画立案され、高取町の方々と深く関わってこられました。当時は産休・育休制度が整っておらず、喜多さんは出産を機に退職。子育てを楽しみながら自宅でエステサロンを経営されたり、役場で培ったスキルを活かして町内イベントにも広く関わってこられたり。女性たちの輪の中心的存在で、いつも笑顔をくれるパワフルな女性です。

そんな情報通で顔の広い喜多さんは、私たちがイベントを開催する時には、仲間を連れてボランティアスタッフとして参加してくださいます。忙しい裏方に徹していただくにも関わらず、「若い人たちと一緒にイベントで来て楽しかった。また呼んでね」と、いつもやさしい声をかけてくださいます。

また、「まちゃポ」に集い、普段は土佐街道沿いのカフェ「ひと休み」のスタッフとして働いておられる本田さんも、私たちの勉強会にお友達を誘って参加してくれる方です。お二人は、城まつりや雛めぐりなどで賑わう地区以外も盛り上げたいと考えていますが、スタッフが少なく、イベントなどを主催するのはどうしても難しいため、「たかまち」の活動を応援してくださっているのです。

バランスをとるきっかけをくれた観光コンシェルジュ

続けてご紹介したいのが、観光案内所「夢創館」に勤務されている、高取町観光コンシェルジュの和田順子さんです。

和田さんは高取町の歴史や観光にとても詳しく、明るい接客で観光客の方々にも人気の方。私たちにもいつも優しく声をかけてくれ、背中を押してくれています。

私たちは結成以来、地道にプレスリリースを出し続け、それによって新聞やテレビへの露出が叶ったのですが、まだまだ地域とのつながりが薄かった頃にメディアに取り上げられたことで、町の人たちから“遠い存在”だと思われてしまった時期がありました。

そんな時に、和田さんは「高取町は他の市町村と比べて小さいところ。もっと町の人たちに甘えてみなさい」という言葉をかけてくださいました。

情報発信に重きをおくのは、勉強会に登壇してくれる方やマルシェに出店してくれるお店の方々のためにも、きちんと集客しなければという思いからなのですが、それが少し焦りとなって、先走ってしまったところがありました。あの時の和田さんの言葉から、バランスをとることの大切さを教わりました。

高取町の人たちは、みなさん快く話を聞いてくださいます。応援してくださいます。「高取町の一番良いところはどこですか?」と聞かれたら、私は迷わず「人々が温かいことです」と答えます。

植村町長(右から3人目)と東副町長(右から4番目)。
いつも温かく見守ってくださっています。

「たかまち」は自分自身が救われたいと立ち上げたグループでしたが、地域の人たちとつながることで、その活動やグループの意味も少しずつ広がってきました。育児・家事・仕事を全てこなすのは大変なことですが、子どもや家族の変化も楽しみながら、地域の人たちと協力しながら「たかまち」の活動を続けていきたいと思います。

「応援してきて良かった」と思ってもらえるよう、これからもがんばります。

Writer|執筆者

福西 奈々子Fukunishi Nanako

高取町在住。2児の母。「たかまち*高取町ママたちのちから*」代表。企業の広報を担当し、プレスリリース・販売促進・情報発信に携わる。プレスリリースやウェブライティングの講師も務める。

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